Anaciaeschna martini Selys
マルタンヤンマ♂
 水草のたくさん生えている池、田んぼの横の畦溝。そういった何でもないところにこのトンボの幼虫はたくさんいます。
 けっして珍しいトンボではないのです。
 しかし、その成虫となると、更に、そのオスとなると、めったなことではお目にかかれません。

 その訳は、昼間はほとんど飛ばないからです。
 昼間は日射を避けて森の中にいます。交尾も森の中で行なわれます。

 夕方近くなって、やっと飛び始めます。しかも高度が高いのです。だから、その気にならないとめったに見つかりません。
 しかし、時折地面近くを掠めることがあるといいます。そういう特異な行動を誘発する地形があるといわれています。
 
日本のトンボの中では最も美しいといわれるこのトンボ。キーワードはブルー。
 マイセンの陶器を連想させるその青は人を魅了してやみません。めったに見られないからこそ、なおいっそう魅惑的な青です。
 しかし、この美しい彼の鎧は決して飾りではないという事をぼろぼろになった彼の翅が物語っています。